不動産の相続放棄をおこなう【負債/要らない土地建物】

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下記のようなケースで、不動産の相続放棄をおこなう方は年々増えています。

 

  • 活用できない田舎の広大地、山林、農地を相続した場合
  • 建築基準法の接道義務を満たしていない土地を相続した場合
  • 亡くなった身内がサラ金や貸金業者からの借り入れや多重債務をおこしていた場合
  • 事業に失敗して負債が大きく残ってしまった場合

 

民法においても、相続放棄をする権利は認められています。

1.相続放棄とは

相続人にとって、被相続人が多額の借金等の負債を抱えていた場合や田舎の土地や山林、農地等を所有していた場合に問題となることがあります。

相続人がいらない負債や借金、土地建物まで相続したくないケースです。

 

相続人が本来相続する権利を手放すために、民法では相続を承認するか放棄するか選べる権利があることを定められています。

 

たとえば、相続人である父親が事業で大きな借金をつくっていたときに、被相続人である子供や兄弟がその大きな借金を引き継ぐ必要はないということです。

 

相続放棄は、まさに、被相続人である子供や親戚のための制度といえます。

連絡をまったくとっていなかった親戚や身内が大きな借金をしていたからって、それを問答無用で代わりに返済しなければいけないなんて、親戚や身内からしたら、たまったもんではありません。

 

ただ、ややこしいことに、相続放棄するには、手続きや期限などが決まっています。

 

このページでは、相続放棄について手続きの流れなど詳しくお伝えします。

 

1-1.負債が多い場合に

相続放棄

親が借金を遺していくことはよくあることです。

相続税対策の一環として、都市銀行や信用金庫、地銀などから借り入れをおこして不動産購入や建築費をまかなっているかもしれません。

その殆どの多くは、相続対策をするための借り入れなので、負債よりも資産のほうが十分にあるでしょう。

 

しかし、被相続人であった親もしくは親戚に資産といえるものが無い、有っても抵当権がすでについている、借金が沢山ある、借入先が多い、

 

被相続人が自営業や会社経営の方だった場合には多額の借金かもしれません。

被相続人が借金をしたときに、あなたが保証人にさえなっていなければ、借金を背負う必要はないのです。

 

相続放棄をするべきか、承認をするべきか、下記にまとめました。

 

相続放棄したほうが良いケース

  • 不動産等の資産が無い
  • 被相続人である故人の借金が沢山ある、相続人にて借金が把握できていない
  • 被相続人が自営業者、会社経営者で大きな負債をかかえていた

 

相続承認するか、放棄するか、限定承認するか慎重に検討するべきケース

  • 相続人である子供が親の事業を引き継ぎたい場合
  • 不動産等の資産、借入等の負債が同じ位にある場合
  • 借金の相手先が今後付き合いがある人の場合

 

また、借金等の負債が有る場合に、生前のうちに家族や親戚の間で確認をしておくことです。

連絡がつかなくなった兄弟や家族が消費者金融や貸金業者から借金をしていた場合には、考えるまでもなく、相続放棄をすることです。

 

1-2.家族や親族と話をしておく

相続は遺産分割する方々だけがもめたり、財産が多くある家庭だけがトラブルになったりするのではありません。

お金持ちじゃない家庭でも相続トラブルは発生します。

 

不動産があって限定承認する場合には、相続人が多ければ手続きや話し合いも大変になります。

相続人である家族や兄弟がそれぞれ遠方に住んでいる場合には、それぞれ世帯を持っていて立場も異なることから、争続になるケースがあります。

 

誰だって、財産があるのであれば、できるだけもらいたいというのが本音があります。

被相続人に負の遺産(借金等)が多いのであれば、生前に家族や親戚で話し合いをしておきましょう。

 

相続人1人が相続放棄をすれば、相続人とならなかったものとなるだけです。

そうなると、他の相続人の相続分が増えたり、他の家族に相続権がわたってしまいます。

 

ただし、自分が相続人であった場合、相続がなかったものとなるため、自分の子供や孫への代襲相続はされません。

相続人となる可能性があるものは、みな相続放棄をしなければいけない可能性があるのです。

 

1-3.相続放棄の期限

相続放棄の期限は、被相続人が死亡してから3か月以内でなく、自分のために相続分があったことを知った時から3か月以内となります。

兄弟だった被相続人が亡くなってから半年後に貸金業者から請求がきたとしても、相続放棄はできるのです。

 

ただし、気を付けていただきたいのが、相続放棄の期限が3か月ということを知らずに、なにも手続きせずに放置していた場合です。

法律を知らなかったでは、すまされないのです。3か月を過ぎてしまえば、相続放棄は出来なくなります。

 

相続放棄の手続きは家庭裁判所に申述しておこないます。相続放棄をするか迷っている場合には、相続放棄の期間の延長を家庭裁判所に申請しましょう。

相続放棄の申請の件数は年々増えています。

年度 相続放棄の件数
平成26年度 182089件
平成25年度 172936件
平成24年度 169300件
平成23年度 166463件
平成22年度 160293件
平成21年度 156419件

民法(相続の承認及び放棄)

第905条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

第905条2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

1-4.限定承認という方法も

借金は多いが、失いたくない不動産や財産がある場合には、限定承認という方法があります。

限定承認とは、プラスの財産(不動産や預金等)とマイナスの財産(借金等)があって、プラスの財産の限度内で借金等の返済を留めることが出来るのです。

 

ただ、限定承認をする場合には、共同相続人が全員一致しておかないといけません。単独で限定承認は出来ないということです。

 

相続放棄の申請は直近5年で15万件から20万件ありますが、限定承認の申請に関しては直近5年で数百件から1000件近くと、限定承認の方法を取られる方は多くありません。

 

主な理由としては、手続きの面倒さと共同相続人の全員の意見の一致がしなければいけないからでしょう。

下記裁判所ホームページに記載がありますが、限定承認の申請をするためには、財産目録の作成や債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)をしなくてはいけません。

相続の限定承認の申述 裁判所ホームページ

民法 限定承認について

(限定承認)
第922条  相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(共同相続人の限定承認)
第923条  相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(限定承認の方式)
第924条  相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

 

1-5.不要な土地、いらない空き家

相続放棄をしたい方は、被相続人が借金をしていたからとは限りません。

都市部や地方部、全国の空き地空き家が問題になっています。特に地方部の空き地空き家の問題は深刻です。

 

相続した子供や身内が頭を抱える理由として、遠方に住んでいて相続した不動産の維持管理ができずに隣地の方から苦情がきてしまう、役所を通して苦情がくる、無駄に固定資産税が発生する、田舎の土地だからこそ需要が無くて売るに売れない。

不動産の所有権放棄はできない?田舎の土地問題

 

 

2.相続放棄の手続きをする

相続放棄の申請をする方は被相続人の負債が多い方だけではありません。

他理由としては、十分に生活が安定されてる方、遺産を分散させたくない方、他の相続人の相続分を増やすため、いらない土地建物を相続したくない為などがあります。

 

ここでは相続放棄の申請の流れから説明していきます。

  1. (できれば)生前に被相続人の財産目録の作成や借金等の確認をしておく
  2. 家庭裁判所に相続の放棄の申述をおこなう(相続開始を知った時から3か月以内)
  3. 家庭裁判に申述時に必要な費用、必要な書類を提出する。
  4. 家庭裁判所より相続放棄申述受理通知書が届く

 

必要な費用、必要な書類

・収入印紙800円分(申述人1人につき)
・連絡用の郵便切手
・相続放棄の申述書
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・申述人(放棄する方)の戸籍謄本
・そのほかにも、被相続人との関係によって追加書類あります。

相続の放棄の申述について 裁判所ホームページ

 

2-1.親の資産や負債を調べる

相続承認もしくは相続放棄をするか迷っている場合には、資産額(預貯金や株式、不動産の時価)、負債額(借金残高)をすべて把握しておくべきです。

被相続人が生前のうちに、借入関係の書類(元金残高)を確認しておきましょう、

また消費者金融や貸金、キャッシングなどを行っている方であれば、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)などに個人信用情報の照会をすることです。

インターネットやスマートフォンからでも、簡単に確認ができます。

ただし、個人間で借入してる場合には個人信用情報機関には登録されていません。

これは本人から確認しておくこか、書類関係を確認しておく他ありません。

 

資産については、多ければ財産目録などを作成して、わかりやすく整理しておくことです。

預貯金や株式などの流動性が高いもの、不動産などの流動性が低いもの、と分別しておきましょう。

 

不動産などの流動性が低いものに関しては、相続した後もすぐに売却できるとは限りません。

公示価格=売却できる価格ではないため、不動産会社2社から3社に査定価格と、すぐ売却成立するであろう見込価格の2パターンを出しておいてもらいましょう。

 

すぐ売却成立するであろう見込み価格は相場の8割から9割となります。

不動産を含めた資産総額が、負債総額よりも十分に上回っているのであれば、相続放棄する必要はないといえます。

 

利用していない不動産であれば、生前のうちに換金しておくことも、考えておきましょう。需要がないエリアだと、中々売れない不動産かもしれません。

 

2-2.不動産の場合

不動産を相続放棄したとしても、引き続き相続人は不動産の管理をする義務があります。

空き家や空き地の場合には、隣地の方や行政から苦情や通達がこないように、維持管理し続けなければいけないのです。

 

下記のページもご参照くださいませ。

不動産の所有権放棄はできない?田舎の土地問題

一般的な住宅用の宅地や道路として供されているのであれば、不動産業者引き取りや自治体への寄付ができる可能性もあります。

 

また東京や市街地の土地建物であれば、公道に2メートル以上接している、建築基準法に違反してる建物でなければ

買い手はいるはずです。相続人が生前のうちに不動産を現金化しておくと、良いかもしれません。

 

2-3.相続放棄をしても受け取れるもの

相続放棄をしたとしても、生命保険金、退職金や遺族年金などは受け取れる場合があります。

受け取れるかどうかは、相続放棄をする前に調査を行っておきましょう。

 

まず、生命保険金に関してですが、保険金の受取人があなた、または別の家族を指定されているのであれば、相続放棄をしていたとしても受け取ることが出来ます。

ただし、被相続人である亡くなった方を指定されていたのであれば、相続財産とみなされてしまうため、受け取ることはできません。負債が多い場合には生前のうちに受取人の確認をしておきましょう。

 

死亡退職金に関しては受取人が被相続人なのか、他の受取人が指定されているのかで変わってきます。被相続人が受取人になっている場合には、相続財産とみなされます。

 

遺族年金や死亡一時金に関しては、相続放棄をしたとしても、遺族固有の権利となりますので受け取ることが出来ます。

 

さいごに

相続予定の不動産が、明らかに負の財産であるならば、先に売れるかどうか査定依頼をしておきましょう。

 

負の財産となりやすいのが、固定資産税が無駄に高くて活用しづらい土地や山林、農地等、また建築基準法の接道義務を満たしていない土地建物(再建築不可)となります。

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