『こんなにも税金が持っていかれてしまうとは・・・』 相続人である子供が思ってしまうかもしれません。
親が亡くなって子供が財産相続をしてから、出来る相続対策は限られています
被相続人である方が賢い相続税対策をおこなって、相続人や子供・孫の為に財産を遺せるようにしましょう。
1.相続税増税の時代がやってきた
相続税が増えてしまうことは個人の方にとって、非常に大きな影響を及ぼすものです。
毎年、12月半ばになると税制改正大綱が公表されます。
相続税に関しては平成25年度税制改正法案可決により、平成27年1月1日から基礎控除の額が大きく下げられることになりました。
今まで相続税の税率に関しては昭和63年、平成4年、平成6年、平成15年、平成25年と改正されてきました。
平成15年にいったん相続税が下げられたものの、平成25年に基礎控除額の減額と相続税率が上がっています。
今後、社会保障給付費が年々増加しており、年金問題や人口減少の社会を迎えるにあたって、相続税がさらに増税する可能性もあるでしょう。
平成27年より基礎控除額の減額、相続税率があがったことで、1億円以上の資産を持ってる方は相続税の支払いがさらに増えることになったはずです。
数億円以上の資産を持ってる方は、土地建物の制度の活用や不動産購入による相続対策が必要不可欠です。
1-1. 1億円以上の資産を持ってる方は税金が大変
基礎控除の金額は3000万円+法定相続人の数×600万円です。
子供2人で相続する場合には4200万円まで相続税は発生しません。
1億円の相続財産の場合には
1億円-4200万円=5800万円が課税遺産総額となります。
子供1人当たり2900万円となります。(2900万円×15%)-50万円=385万円が相続税となります。
385万円×2人=770万円が相続税の支払いとなります。
2億円の相続財産の場合には
1670万円×2人=3340万円が相続税の支払いとなります。
5億円の相続財産の場合には
7605万円×2人=1億5210万円が相続税の支払いとなります。
相続財産が多ければ多いほど、法定相続人が少なければ少ないほど、支払わなければいけない税金は増えてしまいます。
平成15年以前には最高税率が70%であったことを考えると、将来、相続税率が上がる可能性も考えられるでしょう。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
引用:国税庁のホームページより
1-2.財産の評価
預金や保険金、年金、株式は預金残高や流通価格がそのまま相続財産として評価されます。
ただし、土地建物は時価で評価されません。東京都内の土地であれば、路線価方式で計算されます。建物は固定資産税評価額で計算されます。
相続財産としての評価は時価の5割から7割位であることが多く、土地建物を所有していると現金に比べて相続税の発生を節税できます。
1億円以上の相続財産が有る場合に、預金や保険金・年金・株式などの財産の割合が多く、不動産の割合が少ないと、相続税が多く発生してしまうのです。
1-3.財産を減らすことが大事
累進課税である相続税は、資産家や地主にとって税率が非常に高くなってしまいます。相続税率は最高税率で55%です。
一定の控除額があるとしても10億円と評価された相続財産を所有していれば、法定相続人が子供1人であれば約5億円の相続税の支払いをしなければいけません。
相続をしてしまうことで10億円が5億円に減ってしまうのは非常にもったいないことです。
節税対策として、預金や株式・現金などの財産を減らして、不動産の割合を高めることで相続財産の評価を下げることができます。
1-4.不動産は評価を下げることができる
土地建物の制度の活用や不動産の建築・購入をすることで財産評価を下げることができます。
賃貸マンションや貸家にすることで借家権が発生する、また小規模宅地等の特例を活用して大幅に相続税を減額できます。
1億円から10億円以上の資産家、地主の方の多くは、土地建物の制度を活用して相続財産を子供たちや孫にのこすことができます。
2.不動産活用による相続税対策
不動産の購入、収益物件・投資物件の購入、空いてる土地に建物を建築をすることで、相続税対策につながります。
預金や株式、外貨などの資産は100%財産評価になってしまうため、節税ができません。
数千万円から数億円の税金を支払わなければいけないのならば、
小規模宅地等の特例を活用する・不動産を購入して預金等の財産を減らす・貸家建付地の税金の軽減のメリットを享受したできたほうが良いでしょう。
2-1.不動産を購入する、投資物件を購入する
貸付事業用宅地として使用されている土地は200平米の面積まで50%減価した評価をされます。
さらに貸家建付地の評価によって、税金の減額をすることができます。
貸家建付地の価額 = 自用地とした場合の価額 - 自用地とした場合の価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合
ただし、貸し駐車場の場合には、土地の評価が1/6に下がらず、固定資産税も高くなります。
アスファルト塗装をすることで小規模宅地等の特例は活用できますが、場合によっては駐車場にするのでなく、賃貸マンションやアパートを建築したほうが良いかもしれません。
居住用不動産にしか向いていない土地を所有している場合には、売却をして資産の組み換えも検討してみましょう。
2-2.空き地や土地を有効活用する
賃貸マンションやアパートを建築して相続税対策をしている資産家や地主は多いです。
貸家建付地として土地の評価は減額され、建物を貸していれば建物の評価もさらに減額されます。
空き地に建築費総額6000万円の総戸数8戸アパートを建築したとします。
5000万円路線価評価の土地だとして、小規模宅地等の特例・貸家建付地評価により2000万円から2500万円まで評価を落とせます。
また建築費6000万円の建物に対して、建物の評価額が3500万円、賃貸アパートにしていれば2450万円まで評価を落とせます。
もちろん全戸満室になるよう賃貸経営の努力はしないといけません。空きアパートとして放置していれば、貸家建付地や小規模宅地等の特例のメリットを享受できなくなります。
賃貸アパートを建てることで、2000万円から3000万円の節税につなげられる可能性があるのです。(本人の資産状況や相続税率によります。)
2-3.資産の組み換え、使用しない空き地や古家付き土地は売却する
使用する予定が無い古家付き土地、空き地は場合によっては売却をして他の収益物件を購入するか、現金化したほうが良いでしょう。
更地にしておくと固定資産税が無駄にかかる、相続時に特例が活用できません。
古家付き土地のままにしておいても、空き家条例で役所からの勧告や近隣からの苦情を受ける場合があります。また貸家や居住用として使用していないのであれば、同じく特例を活用できません。
特例を活用できないのであれば、特例を活用できる不動産に買い替えた方が良いでしょう。
空き地を所有しているだけでも、税金負担があり、もったいないです。
賃貸マンションやアパート用地に適していないのであれば、売却して良いかもしれません。
2-4.タワーマンション購入による節税
都心部や23区のタワーマンションは賃貸としても居住用としても需要があります。
そんなタワーマンションの物件を相続税対策で購入する動きが活発化しています。時価1億円から1.5億円、相続税評価額が5000万円の物件を購入するのです。
大きな値落ちもせずに売却することもできます。
ただし、タワマン節税に関しては総務省が固定資産税評価額の算出の見直しを検討し始めました。平成30年度に固定資産評価基準の改正が行われる可能性もあります。
過去の事例では短期売買で節税対策で購入したものとみなされ、時価による申告の見直しを国税庁に指摘され、追徴課税になってしまった場合もあるようです。
また2016年にかけて新築マンションや中古マンションの相場もあがっているため、マンション価格が上昇している局面で相続税対策で購入をしても、いずれ売却する時にマンション価格が下落していれば損をする結果になってしまうかもしれません。
さいごに
資産が1億円未満であれば、相続税対策はそこまでする必要もないでしょう。
相続税率が30%から40%を超えてくる方は、資産額は2億円から3億円以上所有されているはずです。
2億円から3億円以上の資産を所有されている方は相続税対策として不動産購入や土地の有効活用、資産の組み換えの検討をお勧めいたします。