自分が所有している収益物件(賃貸マンションやアパート)等で事故や事件等がおきてしまった際には所有者は不動産取引をする場合には告知義務というのが発生します。
自殺や他殺がおきた場合には、事故物件といわれ売買や賃貸が中々成立しなくなります。所有者には告知義務があるため、もちろん告知せずに取引をしてしまった場合は損害賠償や白紙解約といったことになり大変な事態となってしまいます。
だからこそ、少しでも買主や借主からの心証を良くするために、特殊清掃業者に依頼をして物件を綺麗にしておくことが大切です。
特に死後発見されるまで日数がかなり経ってしまった場合には、匂いや血痕の後が室内に残ってしまいます。一般のクリーニング業者や清掃業者に依頼しても、除去や消臭作業をすることはむずかしいです。
こちらのページでは、特殊清掃業者の利用を検討してる方の為に特殊清掃業者に依頼する際の注意点、費用がどれぐらいかかるのかということ、また特殊清掃の必要性などについてまとめさせていただきました。
ぜひご参考くださいませ。
1.事故物件を特殊清掃する必要性
死後すぐに発見された物件であれば異臭が室内に染みつくこともないため、一般的なクリーニングとクロスやフローリングの張り替え程度で十分となります。
死後すぐに発見された物件ならまだしも、日数がかなり経ってしまった場合には匂いや血痕が残ってしまうことがあります。もちろん、そのまま販売又は賃貸募集するということは出来ません。
一般人の心理的嫌悪の度合いに大きな影響を与えてしまうことになるからです。
事故物件の特殊清掃において一番大事なことは異臭をとるです。業者によって特別な薬剤や装置などを用いて、徹底的に消臭などを行います。
場合によっては全ての匂いを完全に取り除くことはできないこともあるため、匂いが染みついているクロスなどの壁紙やフローリング、カーペット、クッションフロア等の床材を張り替える必要もあります。さらに床下の土台やコンクリに体液が流出してしまい跡が残ってしまうので、その場合にはリフォーム工事をしなくてはいけません。
リフォーム工事に関しては特殊清掃の業者でなく工務店などに依頼したほうが良いです。
また悪臭と同時に蛆やハエなどの等の害虫がわいてしまうため、徹底的に害虫を駆除をする必要があります。室内で孤独死があった場合には大量に発生してしまってることが多く、有害な菌やウイルスを媒介してしまいます。
こういった特殊清掃をすることで、買主又は借主の心理的嫌悪を取り除くことが可能といえるでしょう。匂いや血痕等の跡さえなければ気にしないという買い手や借主もいます。もちろん、相場通りの金額だと難しくはなります。
1-1.死後発見されるまでの日数
病死ですぐに発見されていれば、事故物件として告知義務も発生しません。
しかし、亡くなってからの期間の経過が長かったり、悪臭や血痕等の跡が残ってしまったら、「通常一般人において住み心地の良さを欠き、それが居住の用に適さないと感じることに合理性があると判断される程度に達している」こととなってしまうかもしれません。そうなってしまうと、告知義務が発生する可能性が高くなります。
それに、家賃1年分以上の特殊清掃費用やリフォーム代がかかるかもしれません。但し、売るにしても貸すにしても特殊清掃を行うことは最低限必要なことです。賃貸物件として貸していた場合には、借主の連帯保証人様や身内の方に原状回復をする為の負担をしていただく相談も必要となるでしょう。
1-2.古家に特殊清掃は必要ない?
築年数が経った一戸建てや全空のアパートの場合には、特殊清掃は必要ありません。
建て替え前提の物件であれば、解体をすればよいからです。
また事故物件は建て替えをすれば告知義務がなくなるケースもあるため、特殊清掃をおこなって現況のまま売ったり貸したりすることは得策とはいえません。
ただ、区分マンションや事務所であれば、単独で建て替えができないため、特殊清掃は必要となってきます。
1-3.告知義務はどこまで発生するか
自殺や事件事故でなくても、病死や孤独死でも告知義務が発生することはあります。
告知義務が発生すると言うことは、売りにくく貸しづらく、また市場価値が下がってしまう為、所有者にとってはデメリットしかありません。
下記ページをご参考くださいませ。
孤独死でも発見の状況に応じて、告知する必要性がでてきます。不動産業者として、売主としての説明義務のリスクを考慮するのならば、しっかりと告知しておいたほうが良いでしょう。また不動産取引では自殺や殺人がいつまでも瑕疵になるのか否かが、問題となってきます。
1-4.特殊清掃の費用はどれぐらいかかるのか
特殊清掃の相場は下記の通りとなります。
但し、死後発見されるまでの日数や状態、広さ等によっても変わってきますので1社だけに依頼するのでなく、合い見積もりは必ず必要です。
・消臭や除菌などの作業は30,000円から100,000円位
・体液や汚物の除去と洗浄作業は30,000円から100,000円位
・室内残置物の処分代 50,000円から300,000円位(広さやゴミの量によります)
また、事故物件を特殊清掃するまでの流れは下記の通りです。
①体液や汚物などの除去と洗浄作業
②業務用の噴霧機やオゾン発生装置などを用いて消臭や除菌作業
③遺品整理や残置物の処分
④クロスや床材などの剥がし作業、張り替え作業
まず、室内の状態を確認してから特殊清掃業者に依頼することになります。
③と④の作業内容に関しては、残置物の処分業者やリフォーム業者(工務店)等に直接依頼したほうが安上がりとなります。①②の作業や一部作業のみを特殊清掃業者に先に依頼することになるでしょう。
①床や壁などに染みついてしまった体液や汚物を専用の洗剤や機材を用いて落としていきます。染みこんでいなければ特殊清掃までする必要がないこともあります。但し、床材のさらに床下まで染みわたってしまうこともある為、その場合には剥がしたり、張り替えたりする作業が生じます。
②死後発見がおそくて体液が床や壁までかなり染みわたっていれば、悪臭の度合いも強くなります。徹底的に時間をかけて噴霧機やオゾン発生装置を用いて消臭・除菌作業が必要となります。それでも完璧に臭いを失くすことは短期間の日数では難しいこともあります。その場合には、③と④の作業に加えて、日にちをかけて換気等を施す必要があります。
また、上述したように害虫等もわいてますので、室内環境を良くするために害虫駆除も行います。
③室内の家具家電や衣類、布団、日用品などにも体液が染みこんでしまったら処分をしないといけません。また、匂いがしみついてしまっている場合も同様です。大事な物を仕分けした後は、早めに室内などのゴミとあわせて処分がお勧めです。
④匂いが完全に消えていない場合や体液などが染みわたってしまった場合には、クロスの張り替えやフローリングの張り替えを行うことになります。床下の土台や基礎まで染みわたってしまっていることもあります。
またお風呂場で亡くなられた場合にはユニットバスの工事をする可能性もあります。新たに賃貸募集をかけて借主が気持ちよく住むことができるためには最低限しなければいけないリフォーム工事となります。
しっかりとリフォーム工事を行っておけば、以前よりも家賃が高く設定できたりすることも考えられるため、工務店やリノベ業者に依頼することもありでしょう。
1-5.特殊清掃業者を選ぶ注意点やポイント
1社だけに決めずに、なるべく合い見積もりをとることです。
これはリフォーム作業や残置物の処分を業者に依頼する場合にも同じことがいえます。
業者によっては2倍から3倍以上の金額となってしまうからです。
質の悪い業者にあたってしまうと、雑な作業の上にぼったくり金額を提示されることもあります。
また、孤独死や病死等は死後発見日数がそんなに経過してなければ告知義務は発生しないこともあります。
事件や事故、自殺などが起きてしまった物件は市場価値がかなり下がってしまいます。状況によっては買取業者を利用するのもありでしょう。