地主から譲渡承諾の取得不可【土地の賃借権譲渡/借地非訴の申立て】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「借地権の家を売ろうと思ってるけど、地主の承諾を得てないので、どうすればいいか困ってます」という方もいれば

「地主は買い戻してくれないし、譲渡の承諾もしてくれないから賃貸に出してる」という方もいるでしょう。

東京では空き住戸が増えていて、このような借地に関するトラブルも後を絶ちません。

 

下記のように、地主の承諾を取得できないケースが多いです。

・地主としては更地にして土地を返して欲しい

・買取りもしないし、譲渡も認めない

・地主が施設や病院に入っていて、地主と連絡がとれない

 

借地借家法第19条では、下記のように明記されています。

借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

地主の承諾を取得できない時には、この裁判所の許可を得るための手続き(借地非訴手続き)をとることになります。

何故ならば、借地人は無断で借地権を譲渡できません。

借地権を譲渡する場合には、地主の承諾が必要とされており地主に無断で譲渡をしたときには契約の解除事由となってしまいます。

 

1.借地権の物件を売りたい

借地借家法は平成4年に施行されましたが、それ以前に借地契約を結んでいる場合には旧の借地法が適用されています。

実際に「借地権の物件を売りたい」とご相談に来られる方の多くは、旧借地権でしょう。

借地借家法では、普通借地権のほかに、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権の3つの定期借地権の制度があります。

旧借地権とあわせると、現在は5つの借地権があることになります。

 

旧借地権の物件を売りたいのであれば、地主の承諾をとりましょう。

地主に対して譲渡承諾料(名義変更料)を支払うのが一般的です。この譲渡承諾料(名義変更料)は借地権価格の1割(5%から10%)程度が、東京の相場となります。

また、譲渡する際に売主(所有者)が負担するのか、買主(買い手)が負担するのかはマチマチです。

不動産業者が買い取る場合には、譲渡承諾料や弁護士費用なども含めて負担してくれることがあります。

 

下記のページもご参考くださいませ。

借地権、底地の買取業者の一覧

 

1-1.地主が更新拒絶をする、また譲渡承諾をしてくれない

民法第612条で定められているように、借地権の無断譲渡は借地契約の解除事由にあたります。

借地権の物件を売却するにあたり地主に承諾を拒否された場合、承諾に代わる裁判所の許可を得る手続きをすることになります(借地非訴手続き)

 

民法第612条

1、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2、賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 

定期借地権でない限り、地主が更新拒絶をすることは難しいことです。

借地借家法や旧借地法では、借地人には更新請求や法定更新制度という保護が与えられているからです。借地人と借地上の建物を保護するために、旧借地法は何度も改正されてきました。

平成4年に施行された借地借家法では、更新拒絶の正当事由についてはっきりと明文化しています。

地主が更新拒絶をするには正当事由が必要となりますが、過去の判例では地主から借地人に代替地の提供や高額の財産給付を行ったとしても正当事由として認められないケースが多いです。

もしも、地主と借地人が合意による更新をできなかったとしても、法の規定により契約が更新されることになります(法定更新)

 

1-2.売主が安く買い叩こうとしてくる、更地返還を求めてくる

地主が借地権を安く買い戻そうとすることもあります。また、更地で返還を求めてくる地主も多いです。

地主との交渉は、借地権や底地を専門に取り扱っている不動産業者に依頼をしましょう。

 

地主と借地人が協力して、借地権と底地を同時に第三者に売却することもあるでしょう。

本来、地主または借地人のどちらかが購入することで、借地関係が解消できるのです。

地主と借地人との関係は円満であったほうが、双方のためといえます。

 

地主との合意に至らなくとも、法定更新で借地人は住み続けることも出来ますし、

譲渡承諾を得れなかったとしても、借地非訟手続きを行うことができます。

1-3.地主との契約書が無い

「借地権の物件を売却したいが、地主との契約書はない。長年、地代は払ってきた」

「契約書がない。親から相続した物件なので、詳細はわからない」 などなど

 

地主との契約書がない、又は借地契約書を作成されていなかった方も多いです。

書面無しや口約束でも契約は成立しますが、紛争を防ぐためにも書面化しておくべきでしょう。

1-4.借地で売りづらい物件

売りづらい物件とは、ローンが利用しづらい物件のことです。ローンを使わずに数千万円という買い物を現金一括で支払う人は稀だからです。

主にローンが利用しづらい物件とは、下記のような物件です。

建ぺい率、容積率がオーバーしてる物件(違法建築物、既存不適格)

接道基準を満たしていない物件(再建築不可)

・土地の権利が所有権でなく、借地権の物件

 

建て替えや借地権の購入で銀行ローンを利用する場合には、地主の承諾書を求められることになります。

地主によっては、承諾書の署名捺印に応じてくれないことがあります。そうなってしまうと、どこの銀行でも断られてしまうでしょう。

 

まれに、再建築不可で借地権の物件もあります。その場合には、現金で決済してくれるような買い手や不動産業者を探すしかありません。

 

2.借地非訴の手続きを行うには

地主から譲渡承諾を取得できない場合には、裁判所に借地非訟の申立て(手続き)を行うことになります。

譲渡承諾料(名義変更料)の話し合いがまとまらない場合でも、裁判所に「土地の賃借権譲渡又は転貸の許可」の申立てを行います。

借地非訟の申立ては裁判所の許可を得るための手続きであり、一般的な訴訟事件とは異なります。

 

借地非訟手続きに関する期間の目安は、申立から決定まで、7か月から9か月位が一般的な目安となります。

裁判所も、円満な解決を望むために、適宜和解による解決をすすめることがあります。

(引用元:東京地方裁判所 借地非訟事件手続の流れ

 

借地非訟事件は年間で300件後半から400件後半を推移していて、

その中でも「土地の賃借権の譲渡,転貸の許可」の事件数が100件台から200件と一番多いです。

 

2-1.手続きの流れ

 

借地非訟の申立て

呼出状とともに,申立書の副本等を相手方に送達

第1回審問期日(裁判所による、当事者に審問)

鑑定委員会による現地調査

第2回審問期日(鑑定委員会による意見書の提出後)

和解勧告

1.申し立ての取り下げ

2.和解

3.調停

4.裁判所による決定

 

借地非訟の申立ての約9割は和解や調停で解決されます。残りの1割は裁判所による決定になっています。

短い場合には2回の審問期日で終結することもあれば、4回または5回以上期日が入る事案もあるようです。

 

2-2.必要な物

借地非訟の申立てをするにあたって、下記の添付書類が必要となります。

土地固定資産評価証明書

建物固定資産評価証明書

現地の住宅地図

戸籍謄本など(土地又は建物所有者に相続が発生したとき)

委任状(弁護士に委任する場合)

資格証明書(申立人が法人の場合)

郵便切手、収入印紙代

また、証拠資料として下記の書類も必要となります。

土地全部事項証明

建物全部事項証明

公図

譲受予定者がいる場合には、住民票や資格証明書

借地契約書

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

不動産の売却

不動産の売却にお困りになられていませんか?

 

当社では居住用不動産の売却のお手伝いだけでなく、アパートやマンション・ビルなどの収益物件の売却もお受けしております。

・当社ではインターネットでの広告活動だけでなく、現地物件にてオープンルームや現地周辺に広告活動をしますので相場より高く売れる可能性があります。

・相続や税金対策、隣地や隣人との通行掘削の承諾書の取得、その他手続きもお任せくださいませ。

・他社でまったく売れる見込みがたってない売主様もご相談ください。他社で半年売れなかった物件を1か月で売った実績が多くあります。

 

下記のフォームよりお問い合わせくださいませ。

不動産の売却依頼はこちら

最短で翌日査定結果! 100万円でも高く売るために
売却査定、買取査定どちらも選べます