築年数が15年から20年以上経っている物件だと、買い手は建物に劣化箇所や設備の不具合が有るかどうか気にするものです。
築年数が古い一戸建てであれば、構造耐力上主要な箇所である基礎・土台・柱・梁・桁・壁・屋根等がまだ問題ないかどうか、買い手が気にするところでもあります。
しかし、買い手は建物の劣化箇所や不具合を購入前に詳しく知ることが出来ません。売主さえ把握できていないことだってあります。
売主が劣化箇所を把握できていない理由
・親の不動産を相続して、自分が住んでいたわけではないから
・床下や屋根裏を定期的に確認していない
・知りえてる範囲内では不具合や劣化を確認できていない
中古の不動産を購入する方は、購入後に発覚する瑕疵やトラブルの有無を気にします。だから、瑕疵が無いと思われる築浅や築10年以内という希望条件で物件を探される方も多いのです。
中古物件を売り出すにあたって、建物の劣化箇所や修繕するべき箇所をはっきりとさせておいたほうが売れやすくなります。
また、安価で修繕・リフォームできる箇所があればしておくべきです。間違いなく売れやすくなります。
しかし、“売り出し前に修繕やリフォームをする必要はない!! それならば価格を下げたほうが買主は喜ぶ” とおっしゃる不動産会社もあるでしょう。
個人で売る方は持ち出し負担を嫌うため、修繕せずに売りに出すかたが多いです。
もし、中古物件を売りやすくしたいのであれば、劣化箇所の確認と売り出す前の修繕をしてみてください。売りやすくなるのは間違いないです。
1.家を売却する前に劣化箇所を確認する
中古物件では経過年数に伴う劣化、通常使用による摩耗・損耗があります。だから、5年から10年おきに点検や補修、交換を行うものです。建物の劣化を止める為に、計画的な点検と修繕は必要です。
築年数が古い物件だとしても、状態が良い物件もあれば悪い物件もあるのです。
状態が良い物件は今までも所有者が劣化箇所を修繕をしてきたのでしょう。
状態が良い物件であれば買主からの心象も良くなります。
状態が悪い物件であれば買主からの心象も悪くなります。
あまりに建物の状態が悪ければ、内覧者がその家に対して嫌悪感や不安感を持ってしまうことがあります。
『この売主は、まともに建物の維持管理を行ってこなかったのではないか?目に見えない瑕疵があるのではないか?』
こんな印象をもたれてしまっては、売れるものも売れなくなってしまいます。
もしも、今までに点検や修繕を行ってこなかったのであれば、劣化箇所の確認(点検)をしておきましょう。
1-1.管理されていない空き家は買い手の不安も増大?
長年維持管理されていなかった空き家は、買い手の不安も増大してしまい、購入を避けられやすいです。
1年から2年の空き家ならまだしも、5年以上となると建物がかなり傷んでいることが簡単に予測できます。
親から相続した不動産で誰も暫く住んでいなかった場合には、売主は建物や設備の状態を把握してないことがあります。
もしも、親から不動産を相続した場合には、定期的に建物の維持管理をしっかり行いましょう。
また、売りに出す前に建物の点検をしておくことです。
1-2.買い手の気持ちになって考えよう
買い手が中古不動産を購入するにあたって、気にする点が3つあります。
1、購入後のリフォーム代がどれぐらいかかるのか。下地はまだ利用可能な状態かどうか
リフォーム代がどれぐらいかかるのか見当がつかないと、買い手は購入に踏み切ることが出来ません。
その為にも、売主の積極的な協力や情報の提供が必要となります。
目に見えない部分の調査では、売主の協力なしに調査することができません。
2、現況のままで家を利用できるのかどうか
外壁や内装が汚かったり、水回りや設備機器が古くて使えそうにないと、内覧者の購入意欲は低くなります。
建て替え前提の古家付き土地なら良いですが、そうでないなら少なくともメンテナンスやクリーニングはしておくべきです。
下記に該当するのであれば、買い手の印象も悪くなるため要注意です。
・クロス等にタバコのヤニ汚れ、臭気等が付着してる
・砂壁や土壁にカビや埃が付着してる、また壁が崩れかけている
・お部屋全体(天井、壁、床、照明機器、設備等)にカビや埃が付着している
・エアコンや給湯器等の設備機器が古い
・水回りの設備が汚れている、古い
・屋根や外壁が古い、亀裂がある
3、売主はどれだけ綺麗に利用をしてきたのか
築浅物件でも、築古物件でも、綺麗に使われていたかどうかは内覧時に一目瞭然でわかります。
キッチン周りや内装周辺が埃だらけになっていて、カビが生えていないかどうか
綺麗に利用されていれば、内覧者や購入検討者からの心象も良くなるものです。
汚く使われていたのであれば、今まで修繕を全くされてこなかったのではないかと不安感をもたれてしまいます。
1-3.細かい所でも不動産会社・買い手に報告する
売買契約時において物件状況等報告書を買主に交付することは一般的です。
雨漏りやシロアリ、腐蝕箇所、建物の傾きや増改築の有無、その他売主が知っている物件状況について物件状況報告書に記入した上で買主に説明しておきます。
物件を売りに出すにあたって、知りえてる範囲内で劣化箇所や設備の不具合は全て不動産会社や内覧者に伝えましょう。
建物の状態がわからないから買い手が購入を避けてしまうことは多いのです。
買い手に建物の状態を全て理解してもらったほうが購入を検討してもらいやすいです。
指値を入れられる可能性もありますが、それはその時に売主が判断すれば良いことです。
1-4.ホームインスペクションを行う
建築士にホームインスペクションを行ってもらうことで、建物の状態をレポートで報告してもらえます。
床・壁・天井・床下・屋根・外壁・床下・屋根裏などをプロの目で判断してもらいます。
宅地建物取引業法が改正されたことにより、平成30年4月1日以降にはインスペクションの結果等の概要を重要事項説明書に記載・説明をしなくてはいけません。
宅地建物取引業法が改正された理由として、空き家問題を解消するために国土交通省が”消費者が安心して中古住宅の売買を行えるように”市場環境の整備を図りたいという目的があるからです。
劣化箇所が全くわからない方は、売却する前にホームインスペクションを行っておくことをお勧めします。
下記のページもご参考くださいませ。
建物診断をおこなって物件を売るには【インスペクション/メリット】
2.買い手の心象を良くするための小さな修繕、リフォーム
家を売却する際に、買い手の心象を少しでも良くするための小さな修繕や点検は行っておきましょう。
家を売るために高額なリフォームをする必要はありませんが、汚れや傷・劣化箇所が目立つ場合には修繕しておいたほうが売りやすくなります。
軽微なリフォーム程度であれば、自分で行うことも簡単です。
軽微なリフォーム
誰でも出来るレベル(難易度1)
★☆☆☆☆
・襖や障子の張り替え
・クロスの張り替え
・網戸の張り替え
・お部屋、水回りのクリーニング
工具さえあれば誰でも出来るレベル(難易度2)
★★☆☆☆
・フローリングの張り替え
・天井材の張り替え
・外壁洗浄
但し、クリーニングや張り替え作業でも、自分で行うよりプロの業者に依頼したほうが綺麗に仕上げてくれます。
2-1.シロアリの予防
シロアリ駆除の為の薬剤散布では、坪当り6000円から8000円かかります。
売る前にシロアリ予防として薬剤散布をすると同時に床下点検をしておきたいところです。
シロアリの被害があれば、その箇所を補強工事しておくこともできます。
築年数が15年から20年以上経った一戸建てでは、シロアリの有無を気にされる方もいらっしゃいます。
シロアリ予防をされていることで、買い手からの心象も良くなります。
2-2.外壁の洗浄や塗装
外壁にカビや藻が発生して、外壁の一部が黒ずんでいる家は多いです。
そうなってしまってる家は、定期的に洗浄や点検をしていなかったのでしょう。
また、外壁クラックが生じていたり、軒天や破風がボロボロになっている家もあります。
業者に依頼する場合には、外壁塗装は30坪住宅であれば60万円から80万円ぐらいかかってくるため、持ち出し負担は大きいです。
ケルヒャー等の高圧洗浄機を所有していれば、自分が出来る範囲で外壁の洗浄をしておきましょう。
2-3.埃やカビなどのクリーニング
水回り設備の錆びや汚れ、お部屋の埃やカビなどは出来るだけクリーニングしておきましょう。
ハウスクリーニングであれば持ち出し負担も少なく、プロのクリーニング業者に依頼される方も多いです。
汚れが酷い場合には、プロの業者に依頼したほうが綺麗に汚れを落としてくれます。
30坪住宅であれば、10万円から15万円前後でハウスクリーニングを依頼することが出来ます。
2-4.古い畳、フローリングの撤去
古い畳やフローリングであれば、表替えや張り替えをせずに撤去をしておいて良いでしょう。
地域によりますが、畳であれば粗大ゴミで処分することが出来ます。
古い畳やフローリングを撤去しておくことで、床下の点検もしやすく、リフォームもしやすくなります。
さいごに
売出し前に修繕やリフォームをしておいたほうが、買い手の心象は良くなります。
建て替え前提の古家付き土地として売り出す場合には、修繕やクリーニングをする必要はありませんが
リフォーム前提で購入する買い手も多いため、家の劣化箇所は良く確認しておきましょう。
また悪質リフォーム業者も多いためお気を付けください。
売却する上でリフォームの費用対効果が高いかどうか、お気軽にご相談くださいませ。