1.バリアフリーのリフォームをする
マンションと比べて、一戸建ては段差や階段・廊下の幅などが狭いため高齢者の方にとって住みづらい家かもしれません。
特に、昔の住宅であればバリアフリーを考慮されていない家が多く、年を重ねてから、マンションに住み替えや買い替えをされるかたが多いです。
なるべく若いうちに持家をバリアフリー仕様にリフォームするか、建て替えをしておきたいところです。
子供や障碍者の方の為に、手すりや段差解消、幅員(幅)の確保をすることをユニバーサルデザインといいます。
バリアフリーやユニバーサルデザインに適したリフォームをすることで子供や高齢者、障碍者の方が住みやすい家となります。
1−1.昔の住宅は段差が多い
昔の住宅は段差が多く、廊下などの幅員が狭い、急こう配の階段などが特徴的です。
まだまだ体が元気であるうちにバリアフリー住宅にしておきましょう。
段差が多い等の他にも、断熱材がない家だと寒い冬は辛いなど、家の中の辛い環境はリフォームしておきたいところです。
1−2.高齢者や子供向けの家づくり
年齢を重ねていくと体が重くなってきたり、病気やけがをしやすく、家の中での移動もおっくうになってきます。
万が一、車いすを利用するときになって、玄関や廊下の幅員が足りない・段差があることで、リフォームする必要が出てくるかもしれません。
また小さな子供がいる家庭でも、段差や急こう配の階段などがあると転びやすいものです。
1−3.高齢者の身体機能
65歳以上の方を高齢者とよびますが、高齢者になれば誰しも、加齢による身体機能の低下は著しく顕著になってきます。
まだ40代から50代のかたは大きな怪我や病気をすることなく、バリアフリーのリフォームを全く考えていない人も多いでしょう。
高齢者の場合には2週間の安静だで筋肉の40%が委縮してしまう、大幅に筋肉を失ってしまうのです。
病気や入院によってしばらく体を安静にするだけで身体機能や運動機能が低下してしまいます。
家の中での「転倒」にも気を付けたいところです。
主に下記の様に身体機能や運動機能,感覚機能が低下していきます。
- 関節が曲がりにくい
- 持久力、脚力の低下
- 運動神経の低下や敏捷性の低下
- 骨がもろくなる、筋肉の低下
- 平衡感覚の低下、視力や色覚の低下
身体機能や感覚機能などが低下していくことにより日常生活を送る上で様々な支障がでてきます。
- 転倒しやすい、骨折しやすくなる
- 歩幅がせまくなる、歩行がおくれる
- 膝があがらなくなる、すり足になる
- 疲れやすくなる
- 座れなくなる、立てなくなる
当社のお客様でも一戸建てに住まれてる方でバリアフリー仕様(EV付き、フラットフロア)の一戸建てに改修された方もいましたが、マンションに住み替えされた方もいました。
一戸建てまで坂道があり、80代の奥様がお一人で帰宅することが困難になってしまったといった、ケースも多いです。
周辺環境や周囲のサポートも大事です。
高齢者の方の気持ちや身体機能は、まだまだ周囲の方の理解が進んでいない、また自分自身でもまだ将来のバリアフリー設計がたてられてない方も多いです。
家族のために、将来の生活のためにも、家の設計についてしっかり考えておきましょう。
2.バリアフリーでどこをリフォームするべきか
高齢者の方の身体の状況によって、リフォーム箇所を考えましょう。
またリフォーム内容に応じて予算もかわってくるので、リフォーム業者と打ち合わせしながら決めるのがベストです。
場合によっては、ケアマネージャーや介護士、理学療法士などの方と連携して話をすすめることも大事です。
介護する人や介護される人、状況によっても変わってきます。
日常空間として頻繁に生活をおこなわれる箇所がバリアフリーのリフォーム工事では重要です。
主に水まわりの箇所(浴室、トイレ、洗面所)、お部屋や廊下、階段・玄関・ドアなどです。
高齢者の方にとって、移動時の安全性や快適性が確保されていることはとても大事なのです。
お部屋や通路に広さ・幅があることで、様々な福祉用具を活用することができます。
- 自走用車いす、介助用車いす・・・全幅430mmから700mm
- 杖
- 歩行器
- 六輪歩行器
介護保険や自治体の補助金、住宅特定改修特別税額控除などの制度も活用しましょう。
2−1.水まわりの箇所
適切な位置に手すりの設置、滑りにくい床材、段差の解消、車いすのスペースの確保、開き戸から引き戸にするなどのリフォームが考えられます。
また、お部屋から水まわりの空間(浴室やトイレ、洗面所)の温度差をなくすことも大事です。
急激な温度変化で血脈へのヒートショックをうけないようにすることです。これにはサッシ工事や断熱工事、また場合によってはユニットバス工事が必要になります。
最近のユニットバスでは標準装備で暖房機能やサーモフロア、手すりがついていたり、段差がなかったり、浴槽が浅いなど、最初からユニバーサルデザインになっています。
またメーカーごとの商品も選べるため、特徴やサイズを考慮しましょう。
パナソニックでは高齢者向けユニットバスのアクアハート(機械浴、リフト浴対応)、TOTOではシニア向けユニットバスのシンラやサザナなどがでています。
2−2.お部屋や廊下
廊下には手すりの設置、通行幅の800mm以上が確保すると良いです。(車いすや杖利用を考慮して)
床材はすべりにくく、段差などはつけないことです。転倒防止を第一に考えなければいけません。
また車いすを利用する場合には、耐久性のあるフローリング材を使用します。
廊下やお部屋の照明スイッチやコンセントは使いやすい形状や高さを考える事です。
また寝室とトイレは近くにする、寝室は日当たりや風通しが良好の配置にする、寝室をリビングやキッチンの近くに配置するなど
生活スタイルにあわせて高齢者の寝室の配置を考慮したいところです。
またナースコール(緊急ブザー)を寝室や浴室、トイレなどの箇所につけておいたほうが良い場合もあります。
2−3.玄関や建具
開き戸は歩行が困難な人や介護者・高齢者にはつかいづらく、引き戸にしたほうが良いでしょう。
また引き戸の開口幅も広くしておくことです。
玄関は段差を解消して、靴いれスペースを車いす置場にするなどの広さを確保することも大事です。
2−4.300万円の費用でリフォーム
10万円から20万円の小規模リフォームだと、手摺や床材などのリフォーム、建具の交換ができます。(介護保険を活用)
300万円のリフォーム費用をかけるのならば、家の中のバリアフリー工事を全て行っておきたいところです。
生活スタイルや家族構成にあわせて、バリアフリーのリフォームを検討しましょう。
- 道路から玄関までのアプローチの工事
- お部屋や廊下に手すりの取付
- 浴室工事や断熱工事
- キッチンセットの工事(高齢者の方にとっての調理環境は大事です)
- 和式トイレを洋式トイレに変更
- 段差の解消や間仕切り変更
- お部屋や廊下の開き戸を引き戸に交換
- 昇降機の設置等
2−5.介護保険、高齢者自立支援住宅改修の活用
要介護者等が、自宅に手すり等を取り付けるなどの住宅改修をおこなうときには介護保険による住宅改修費として支給されます。
上限は20万円の9割までとなります。
- 手すりの取付
- 段差の解消
- 滑り防止および移動の円滑化などのための床または通路面の材料の変更
- 引き戸などへの扉の取替え
- 洋式便器等への便器取替え
- その他全豪の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
地域によっては内容が異なる場合もありますので、自治体の担当課に確認が必要です。
また自治体にて高齢者自立支援住宅改修の助成金として下記の様なものがございます。
介護保険対象先と同一の場合には、調整が必要となります。
- 浴室の改善・・・限度額200,000円(自治体によって限度額異なります。)
- 台所の改善・・・車いす利用者の方 限度額130,000円
- 便所の改善・・・限度額90,000円
まとめ
将来のバリアフリー設計、介護者の有無や家族構成、生活スタイルを考慮して早めにリフォーム工事しておきましょう。