家や土地を売り出すときには、隣人に売ったほうが相場よりも高く売れる場合があります。
隣人が地続きの土地を買うことで、隣人が所有する土地の価値も上昇するからです。
隣接地の所有者が地続きの土地を買うことのメリットは下記の通りです。
・不整形地が整形地になる
・道路付けや土地の形状が良くなる
・袋地や無道路地は隣人が買えば解決することもある(隣人や売主にとってメリットがある)
・南側の土地であれば庭として、又は駐車場として利用できる
・アパートやマンション用地として一体化できる
隣人にとってメリットがある土地ならば、まずは隣接地に売却の交渉をしていくことです。
1.隣の土地は高く買え
“隣の土地を高く買え”
“隣の土地は倍出してでも買え”
“地続きは借金をしてでも買え”
不動産の世界では昔から言われてきたことです。
土地の価値は立地だけで決まりません。土地の価値は、土地の形状や道路付け(前面道路)によっても大きく左右されます。
どの土地も隣地を買うことで、道路付けが変わってくるかもしれません。
一方道路が二法道路になることもあれば、旗竿地が整形地になったり、再建築不可の土地が再建築可になることもあります。
東京23区では旗竿地や狭小地、袋地(再建築不可)、要セットバックの物件など同規模の建物を再建築できない物件も多いのです。
袋地や再建築不可の土地であれば、建て替えができないために買い手があらわれない又は相場の半値以下で売買されることもあります。
隣地の方が購入することで接道問題を解消することができますし、また隣地の方であれば相場より多少安くなった金額で買ってくれる可能性もあるのです。
1-1.地続きとは
地続き(じつづき)の土地とは、地面が続いている土地(隣地)のことをいいます。
上記の図を見てわかる通り、地続きの土地を購入することでB地の道路付けが変わってきます。
道路付けが変わることで、建ぺい率や容積率の限度が上がることもあります。
また無道路地の場合では、南側のA地を購入することで再建築可の土地に変えることができます。
このように地続きの土地を購入するということは、土地の価値が上がるチャンスでもあるのです。
1-2.袋地や変形地
袋地(無道路地)とは、他人の土地に囲まれている土地のことです。
道路に接道していない袋地は、建て替えすることが出来ません。建て替えをするためには、隣地を購入する又は隣地を借りて建築基準法の接道条件を満たさないといけません。
袋地所有者が隣地の家を買えば、建て替えができるようになりますし、それだけでなく土地の価値が大幅に上昇します。
また隣地所有者が袋地を購入する場合でも、相場より安く土地を買えることができ、かつ再建築可に出来るというメリットがあります。
袋地の売買は隣接地の方同士で行ったほうが建設的です。再建築不可の土地を再建築可の土地に再生できるのです。
変形地(不整形地)や狭小地は土地に対して建築できる有効率が低くなってしまうことがあります。
また長方形や正方形の整形地に比べて、設計コストもかかり、それに駐車場や庭の確保が難しいです。
そのような土地は、道路に面してる隣地と一体化することで資産価値が上がります。
1-3.売り出しは隣地から
隣地所有者にとってメリットある話ができるのであれば、「土地を買いませんか」と隣地に話を持っていくべきです。
もしも隣地の方が土地を買うことで下記のメリットが得られるのであれば、相場より高く話がまとまることもあります。
・不整形地が整形地になる
・道路付けや土地の形状が良くなる
・再建築不可の土地が再建築可になる
・アパートやマンション用地として一体化できる
但し、隣接地の方は、「なるだけ相場よりも安く購入したい」という思惑が必ずあるでしょう。
不動産会社に依頼して、隣接地の方にとっての購入メリットを提示するなどの交渉をしてもらいましょう。
1-4.必ず不動産仲介会社に依頼すること
不動産を売り出すときに、隣接地に売却交渉をしない不動産会社は多いです。それは非常にもったいないことです。
特に変形地や狭小地、再建築不可等の袋地は隣地に交渉するべきです。
その逆も同じく、隣地が変形地や狭小地、袋地だとしても、隣地に交渉するです。
双方にとってメリットがあるのであれば、売却交渉しない手はございません。また、隣地の方と同時売却するという話に発展する可能性もあります。
下記ページもご参照くださいませ。
2.隣地、隣人の方に不動産売却をするポイント
隣地の方に土地や建物を売却する際には、相場以上の金額で売りたいところです。
隣地の方に土地購入のメリットを感じてもらう為にも、また足元を見られない為にも、不動産仲介会社に売却の依頼をしましょう。
隣人が土地を購入してくれない理由
・相続人がいない(又は不動産を遺したくない)
・今、土地を購入することで生活、家計が圧迫してしまう
・土地を購入しても、たいして資産価値がアップするわけでもない
・価格が高すぎる
売主、隣地の方、双方にとってメリットがあるように話をまとめないといけません。
2-1.相乗効果で土地の価値が上がるかどうか
土地が一体化することで土地の価値が上がるのであれば、隣地の方も興味をもってくれるはずです。
隣地の相続人予定である子供が購入するケースも多いです。
ただ、隣地の方が高齢者の方で、相続人等がいない場合には話にならないことがあります。
話にならないのであれば、一般通り売り出しをかければ良いだけです。
あくまでも隣地の方に売るのは、相場より高い金額を出してくれることが前提となります。
相場より安い金額となってしまう場合には、隣地の方に売却することをこだわらないことです。
2-2.購入資金の工面が可能かどうか
隣地の方に購入意欲があったとしても、購入資力が無ければ話はまとまりません。
隣地の方がローンを組んで購入することが出来るように、不動産会社がサポートしないといけません。
隣地所有者がまだ住宅ローンの残債を抱えている場合には、隣地所有者の家族や子供がローンを組んで購入するケースも考えられます。
現金(キャッシュ)で買ってくれる人であれば楽な取引相手となりますが、中々そのような方はいないため、ローンを組んで買ってくれるようにサポートしないといけません。
それにローンを組んで買ってくれるためにも、隣地を購入するメリットを感じてもらう必要があります。ローンを組むということは隣人の家計が圧迫されることもあるからです。
建て替えや増改築のプラン、また土地を一体化したことによる売却の想定額(利益額)を提示して、メリットを感じてもらう必要があります。
大切なのは資産価値がどれぐらいアップするのか具体的にすることです。家計が圧迫しないかどうか、それを天秤にかけて判断される方が多いからです。
2-3.相続税対策で購入?
隣人に子供(相続人)が入れば、相続財産として子供に遺したいと検討する可能性が高まりやすいです。
子供(相続人)の為に購入したいという方もいるのです。
それだけでなく、相続税対策で不動産を購入する方は多いです。
東京23区の土地であれば、実勢価格が相続税を算出する為の路線価を上回ることが多いです。
不動産を購入することで相続財産の評価減につながるのであれば、相続税対策で購入してくれる方もいるでしょう。
2-4.再建築不可の土地
路線価の7掛けや半値になってしまうとされているのが再建築不可の土地です。
そして、何よりこの再建築不可物件を売るにあたって、買い手は金融機関の住宅ローンを利用することが難しく、キャッシュで買える方を探さないといけません。
隣人が買うことで再建築不可の難点を解消できるのであれば、隣人に売っておきたいところです。
A地所有者が、道路に面した隣地(B地)を購入しない理由
・B地を購入する資金が無い
・この先に建て替えやリフォームする予定が無い
・相続人がいない
B地所有者が、A地(再建築不可の土地)を購入しない理由
・現状に不自由はないし、買う必要もない
・建て替えやリフォームの予定がない
・安くならなければ買う必要がない
・今すぐに購入するほどの余裕がない
A地、B地所有者にとって、メリットが感じられれば、隣地を買いたいという方向に変わることも多いです。
資産価値のアップだけでなく、資金工面の提案、時期、今後の建築・リフォーム計画の話し合いをすることで、今は買う必要がない・・・という否定的な反応から買いたいという肯定的な反応に変わることもあるのです。
土地建物の売却、隣地交渉なら当社までお気軽にご相談くださいませ。