相続時精算課税制度はメリットがあるのか?【土地/不動産】

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1.相続時精算課税制度とは?

みなさんは「相続時精算課税制度」についてご存じでしょうか?相続時精算課税制度とは、親から子どもへの財産の移転をスムーズにする目的で作られた制度です。

財産というのは、自分以外の誰かに譲り渡そうとすると、「贈与税」という税金が課税されます。たとえ親子間であっても、贈与税の税率は高く設定されているため、不動産とった高額な財産を贈与しようと思えば、多額の税金を納めなければなりません。

しかし、相続時精算課税制度を利用すると、2500万円までは非課税で済むのです。

 

1-1.2500万円をそのまま贈与すると・・・

では、2500万円を普通に贈与すると、どの程度の税金がかかるのでしょう?

贈与税には、相続時精算課税制度の他に暦年課税という制度があり、特になにも手続きをせずにそのまま贈与をする場合、こちらの制度が適用されるのが原則です。

この暦年課税には基礎控除額が年間110万円あり、2500万円の贈与の時には265万円の控除が付きますが、税率は45%(父母や祖父母からの贈与の場合)になるため、贈与税を求める計算は、「(2500万円-110万円)×45%-265万円=810.5万円」となります。つまり、そのまま贈与をすると810万5000円も課税されてしまうのです。

贈与税がいかに高い税率になっているのか、よく理解できるのではないでしょうか。

 

1-2.相続時にまとめて課税される

一方で、相続時精算課税制度を利用すれば、多額の贈与税を負担せずにすみます。

ただし、相続発生時には贈与された財産と相続された財産を足した額に相続税が課税されるという仕組みです。どういうことかというと、たとえば、親から子どもに2500万円の不動産を相続時精算課税制度の利用で贈与した場合、いったんは非課税になりますが、親が亡くなった際に子どもが相続した財産に2500万円が加算されるということ。相続時には「相続税」が課税されるため、このタイミングで税金を納めなければなりません。

贈与時が非課税になる代わりに、相続時に課税されるのが相続時精算課税の特徴です。

後から課税される可能性があると覚えておくと良いでしょう。

 

1-3.相続税が課税されなければそのまま非課税

なお、相続税にも基礎控除や減税措置があるため、相続時精算課税制度を利用して贈与された額を足しても基礎控除内に収まれば、非課税のまま相続を終えることができます。

平成28年時点で相続税の基礎控除額は、「3000万円+法定相続人の数×600万円」となっているため、この範囲に収まるように相続時精算課税制度をうまく利用できれば、贈与税だけでなく相続税も課税されずに済むというわけです。

ただし、相続税については近年増税があったように、将来的に増税される可能性があります。どうしても相続税を非課税にしたい方は、常に税制改正に注意を払う必要があります。

 

1-4.利用条件がある

相続時精算課税制度は、誰でも好きなタイミングで利用できるわけではありません。

以下の利用条件をすべて満たしていなければ利用できないのです。

・贈与者(財産を贈与する者)が60歳以上であること

・贈与者が受贈者(財産を贈与される者)の父母、または祖父母であること

・受贈者が20歳以上であること

 

2.相続時精算課税制度のメリット・デメリット

上記のように、相続時精算課税制度はうまく利用することで多額の節税に繋がります。

しかし、その一方でデメリットも存在している点に注意しなければなりません。

損をせずに課税制度を利用するためには、自身にとってどのようなメリット・デメリットがあるのかについては、必ず把握しておきたいところ。では、相続時精算課税制度を利用すると、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

 

2-1.メリット1 財産の移転が素早い

暦年課税制度を非課税で利用しようとすると、年間110万円までしか贈与できず、2500万円もの財産を暦年課税制度の利用で贈与しようと思えば、20年以上かかってしまいます。一方で、相続時精算課税制度を利用すれば一瞬で財産の移転が完了するメリットがあります。現金や預貯金であれば、暦年課税制度を利用してゆっくり贈与するのも手ですが、不動産に関していえば、一度に贈与できたほうが手間を省ける利点もあります。

 

2-2.メリット2 相続税対策としての利用も可

相続時精算課税制度を利用すれば、結果として相続税対策に結び付くというメリットもあります。相続税対策はいかに相続財産を減少させ、基礎控除内に収めるかが重要です。

たとえば、贈与対象の不動産が収益物件であれば、贈与後の収益はすべて子ども(孫)の財産になるため、本来増えていくはずだった父母(祖父母)の財産減少に繋がります。

また、将来的に値上がりする見込みがある不動産であれば、相続財産の評価は贈与時の金額にて評価されるため、相続発生時の値上がり分の加算を避けられます。

 

2-3.メリット3 相続で揉める危険を回避できる

相続時精算課税制度を利用するということは、相続人に対して生前贈与できるということ。

生前贈与しないまま、遺言書も作成せずに亡くなってしまうと、相続財産の行方は相続人同士の話し合いに委ねられます。しかし、相続は常に揉める可能性を孕んでいるため、自らの意思で財産の行方を指定してしまったほうが良い場合もあるのです。

とはいえ、相続問題は多種多様、対策もケースバイケースとなっているため、必ずしも相続時精算課税制度の利用が適正とは限りません。相続問題は慎重な判断が求められます。

 

2-4.デメリット1 暦年課税制度が利用できなくなる

相続時精算課税制度を一度利用すると、暦年課税制度が利用できなくなります。

つまり、贈与における年間110万円の基礎控除を受けられなくなってしまうということ。贈与税の課税制度は、この2つのうちどちらかしか利用できないのです。

一度の利用で後戻りができない点は、まさにデメリットと言えるでしょう。

 

2-5.デメリット2 小規模宅地等の特例が利用できなくなる

相続時精算課税制度を利用していると、相続税の減税措置の1つである「小規模宅地等の特例」が利用できなくなります。小規模宅地とは、親の死亡によって子どもが得た財産の中で、相続開始前まで親が事業用、または居住していた宅地の一部分のことです。

相続税では、この小規模宅地等について減税される特例があります。

この特例は、相続がきっかけで財産を得ている必要があるため、生前贈与してしまう相続時精算課税制度を利用していると、減税を受けられなくなってしまうのです。

 

さいごに

上記のように、相続時精算課税制度には大きなメリットがある反面、相続が関わってくる以上、慎重にならざるを得ない場面、そして利用に伴うデメリットが付き物です。

こうした制度をうまく利用するには、どうしても専門的な目線からの判断が求められます。

相続時精算課税制度の利用で迷っている、もしくは、贈与税・相続税を無駄に納めたくないとお考えの方は、一度、当社にご相談へ来られてはいかがでしょうか?

当社であれば、不動産に関するお悩みにはすべてご対応させていただきます。

特に、不動産は資産価値が高く処分の判断が難しいもの。目の前の取り扱いだけでなく、将来的に失敗しないためにも、幅広い視野と専門知識を持った当社にお任せください。

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